ダーツを自宅で楽しめる人気の家庭用ダーツボード。そのヒットの裏側を支えている一人が、プロダクト本部ハードウェア開発部の福田 幸次です。2021年10月発売の新型「ダーツライブホーム」は、福田が「つくりたいもの」を具現化できた渾身の商品。ハードウェアエンジニアとしてのものづくりへのこだわりや、ダーツライブで働くおもしろさを聞いてみました。
―福田さんの現在の業務について教えてください。
私が所属するプロダクト本部ハードウェア開発部は、一言で言えば「ものづくり」を行う部署。お店に置いてあるダーツマシンや、家庭用ダーツボードなどのハードウェアを研究開発し量産を行います。
私の現在の主な業務は家庭用ダーツボードのハードウェア開発を行うことです。具体的に言うと、協力会社にダーツボードの完成イメージを伝えて材料候補を集めてもらい、それをもとに開発、評価するという流れです。最終的な材料の決定は私たちが行い、検証を重ねて完成を目指します。
―ダーツライブでハードウェア開発を行うおもしろさは何でしょうか?
ニッチな業界ですが、ダーツライブはトップメーカーとして自分たち主導でものづくりができるところに惹かれました。
前職は一般のお客様には届かない研究・業務用の電子機器の受注開発をしており、フィードバックが返ってくる経験があまりなかったのです。今は直接お客様に遊んでもらえ、フィードバックしてもらえることに喜びを感じています。
レビューを見たり、エゴサーチをしたりもします。それで結構傷ついたりしていますけれども(笑) 。良いこともあれば悪いこともあって、でもそこから得られるものは多いと思っています。「こうすればいいのに」という意見があって、そうだなと思う部分もあれば、それはわかっているんだけどね、ということもあります。そういった反応を見られるのもメーカーのやりがいのひとつです。
お客様におもしろいと思ってもらえるもの、市場に無いものを自分たちで考えられる。上流からものづくりができるのは、メーカーだからこその醍醐味ですよね。
また、ダーツライブに入社して感じたのは、人のおもしろさです。自分で凝り固めた範囲を飛び越えてアイデアを出してくる人がいて、できないことは考えず、「これをつくりたい」という想いからはじまります。技術者はできないことから省いていく傾向にあるので、強い信念を持つことが、ほかにない新しいモノを生み出せるのだな、と学びました。
―昨年発売されたダーツライブホームはどのように携わったのでしょうか?
ダーツライブホームは私が主導となってつくりたいものを具現化できた商品になりました。前作であるダーツライブ200Sもヒット商品ではありましたが、より良いものをつくろうという企業風土もあり、機能面、デザイン面、価格面などそれぞれの想いを集め完成できたと思います。周りの意見は大切にしながらも、私自身のこだわりややりたいことは軸を持ち、進めていきました。
製品仕様から価格付けまで全体的なプロジェクトのマネージメントを行い、多くの人を巻き込んでものづくりを邁進できました。特に価格面に関われたのは、私自身が成長できた点です。良いものをつくっても値段が高かったら売れませんし、逆にダーツライブ製品メーカーとして「安かろう、悪かろう」は許されません。できるだけ多くのお客様の手に届くようにコストを抑えながら、譲れない品質やこだわらなければいけない部分にはお金を掛けることで、クオリティーに妥協しない製品をつくることができたと思っています。
―ダーツライブホームで福田さんがこだわったところは何でしょうか?
見た目のデザインにはこだわりました。家庭用ダーツボードはダーツライブ200Sから関わっていて、自分の中で「もっとここを改善したい、こうしてみたい」ということがいくつかありました。そのうちのひとつに、部屋のインテリアとしてずっと部屋に飾っておきたいなと感じてもらえるようなものを作りたいと思っていました。
社内では「ダーツライブのロゴをドーンと入れて欲しい」という意見もありましたが、買ったお客様が部屋のインテリアとするなら、社名やロゴを目立たせるのは良くないと思うので、できるだけシンプルにしました。
中身が良いのはもちろん、見た目も良くなくては、という思いは昔からものづくりしていてあったと思います。特に前職では一般の人の目に触れないようなものを作って来たので、デザインよりも必要な機能を優先していました。デザインに対して自分でやりたいことを盛り込みたいなという憧れは昔からありました。
―ハードウェアエンジニアとして仕事をするうえで大切なことを教えてください。
「やりたいこと、つくりたいものを絶えず考えていくこと」。日進月歩新しいものが生まれているので、それに対してアンテナを張って情報収集をすることが重要です。そして自分の中でブラッシュアップし、日々研究。やる気や情熱を持ち続け、やりたいことを追求することが、技術者として必要な姿勢だと思います。
新しく入社した社員は単純作業が多かったり、環境に逆らえなかったりと、理想とは違う状況になることもあるかもしれません。しかしものづくりをしていくのであれば、自分の内に秘めたやりたいこと、つくりたいものというのを「いつか実現するんだ」と、常に認識しながら、どんな仕事でも前向きに取り組み、積み重ねていくことで経験や糧になると思います。
石の上にも3年、と言うようにまずは3年。興味と好奇心を失わずに仕事ができれば、何かしらの形でやりたいこと、つくりたいものが実現できるタイミングやチャンスが来ます。そこを意識しながら日々の仕事に取り組めるかどうかが、ハードウェアエンジニアの仕事には何より重要なのです。
―今後どんなことにチャレンジしていきたいですか?
私自身、やりたいこと、つくりたいものはまだまだあります。ダーツライブホームについても、もっとやりたいことがあったので次の機会があればそれを実現させたいですね。その後はダーツに限らず「新しいものづくり」にもいつかチャレンジしていきたいと思っています。
繰り返しになりますが、メーカーは自分たちでつくりたいものを企画して、実際に実現するために行動を起こせます。自分のやりたいこと、つくりたいものの方向に会社を巻き込んでいけるというチャンスがあるのです。メーカーだからこその強みを活かし、今後も自分のやりたいことを実現していきたいです。