2009年に入社して以来、プロモーション部門に所属している中島 健。イベントやプロモーションの企画・運営を通して、ダーツライブに新しい付加価値を創出してきました。世界最高峰のソフトダーツ大会「スーパーダーツ」の運営を担当するなど、ビッグな仕事も手がけている中島。そんな彼が語る新人時代と現在、仕事論とは。
▲東京ビッグサイトで2Days開催された「日本ダーツ祭り2022」では全体統括を担当(写真前列中央)
私は2009年にダーツライブに入社して以来、プロモーション部門でイベントやキャンペーンの企画・運営を行なっています。
これまで、ダーツの国内大会やイベント「日本ダーツ祭り」、世界のトップが腕を競う大会「スーパーダーツ」など手掛けてきました。
私の仕事を一言で言うならば、会社とサービスの付加価値を出すためにプロモーションを仕掛けたり、海外・国内大会の運営を通して自社製品である「ダーツライブ(ダーツマシン)」の販売促進につなげたりする、といったところでしょうか。
年間を通して運営を担当しているプロツアー(国内大会)には、さまざまな取引先が関わっています。そのためスケジュールやお金周りの調整も重要です。
社内と社外で常識が大きく違っているケースも珍しくなく、そんな中で架け橋となって駆け引きをする場面では苦労することも多くありました。
大会にどのように関われば、選手はもちろん店舗様や自社にメリットをもたらすことができるのか等を常に考えながら仕事をしています。
でも実は、入社当時は「ダーツライブでこういうことがしたい!」という具体的なビジョンは何もなかったのです。当時は5年、10年先の自分の将来像なんて描いていませんでしたし、想像すらできませんでした。就活生はもちろん社会人になった後も「数年先どうなるのかわからない」と不安に思う人も多いと思います。
でも、そんなことは考えなくていいんじゃない?って、伝えたいですね。働きながら学んで、自分の好き嫌いを考えていくのも悪くはないと思います。私だって、それでここまで成長できましたから。変に理想を持ちすぎない方が、目の前の環境になじんでいけるはずです。
大学では理系学部に属していたので、就活ではエンジニア職などを目指すのが一般的なルートでした。ですが、いざ就活するときにふと思ったんです。「ずっとコードを書いているような仕事は、性格的に向かないな」と(笑)。
直接的に誰かに何かをする、というサービス系の職種のほうが自分に合っているのではと思い、就活を始めました。
ダーツライブの求人を見つけたのは、学生時代に友人とダーツをよくしていた時期があり、会社名を知っていたので「とりあえず」という感じで受けてみたというのが正直なところです。
そんな軽い気持ちで説明会に参加したのですが、いい意味で裏切られたといいますか、とても印象的だったんです。今でも覚えているのは、説明会でのこんな話です。
「社会人の1日をざっくりわけると『寝る時間8時間、遊ぶ時間8時間、仕事8時間』に分割できる。そのうちの『仕事8時間』が楽しかったら1日中楽しいよね。だからみんなで楽しく仕事をしましょう」
この話に「すごくいいな」というインスピレーションを抱きました。
それから当時、説明会で学生に出された飲み物が瓶コーラだったことにも驚いた記憶があります(笑)。「この会社、おもしろそうだな」と直感し、選考を受けることにして内定をいただきました。
入社して間もないころは、小さい仕事を川上から川下まで必死に覚えていく日々。担当する案件を進めるために、部署の垣根を越えて他部署の先輩方や同僚に相談したり、アドバイスをもらったり議論を重ねる繰り返しでした。
業務を覚えることはもちろん、業界や社内のルール、仕事を進める上での礼儀を身につけるのもとにかく大変でしたね。上司の教育のもと、社会の厳しさをひとつひとつ教えてもらいました。当時は余裕がなく気がつけていませんでしたが、振り返ってみると有難い環境でスタートを切れたと感謝しています。
先輩たちの背中を追いながら基本を学んでいくうちに、段々と認めてもらえるようになり、入社3年目に立ち上がったばかりの「プロツアーJAPAN」という国内大会に関わることができました。
自分の中で、何か意識が変わり出したのはそのころかもしれません。
それまでは自分の範囲内の仕事をしていればよかったのに対して、全体や先々のことを考えて動く必要性が増したのです。
業者やディーラーのスケジュールを調整したりお金まわりの管理をしたりと、はじめの頃は経験値がなかったので本当に大変で……。
それでも、めげずに各方面の方々と関わり続けていたら「ここは中島に任せておけば大丈夫」と言ってくれる人が増えていきました。
次第に困っていることを打ち明けてくれる取引先や選手の方が増え、有難いことに社内外から信頼を寄せてもらえるようになりました。
2017年からは、世界最高峰のソフトダーツ大会「スーパーダーツ」を任せてもらえることになりました。ダーツに携わる企業は数多くある中でもこの大会はダーツライブでしかできないこと。それがワクワクしましたね。
当時、強く思っていたのは「やるからには、大会当日だけでもダーツ業界の話題を独り占めしたい」ということ。
世界大会というブランドは守りながらも、いかに日本の人たちから見てもおもしろいものをつくれるか。そこに重点を置いて、費用対効果や成果重視で大会をつくり上げました。
もちろん大きな仕事である分、キツイこともありました。それでも数字として結果が出て、関係各所からも「今回の大会すごくよかったよ」「ありがとう」と声をかけてもらえたときは、心からやりがいを感じました。
当社主催の大会ということもあって「スーパーダーツ」の仕事は自由にできるのが面白いんですよ。だから、そろそろ後輩たちに手渡していけたらいいなと思っています。
その過程で後輩に伝えていきたいの「自分はこうしたい」を常に心のどこかに持ちながら動いてほしいということ。社内外の意見を聞いて調整をする仕事なので、周囲の意見に流されてしまうことも当然あります。
そんなときでも、ふと自分の理想に立ち返り「ここはやっぱり直したい」と思えることが大事。聞く力も大切ですが、自分の芯を持っていてほしいと思っています。
私は入社以来、大きな部署異動もなく同じ業務を繰り返すことも多かったため、モチベーションの波も経験してきました。
仕事が変わらないという状況は、場合によっては「昨年と同じことばかりやっている」と否定的に捉えることもできるでしょう。でも裏を返せば「自分にしかその仕事はできない」ということでもあると思うんです。
モチベーションが沈んでしまったときは、そんな使命感を思い出すことで気持ちを切り替えてきました。
たとえ同じことでも、続けていくことで「次はこれをやってくれ」と仕事の幅は広がっていくもの。だから、自分がやっていることは決して無駄にはならないと思うことが大切だと思います。
「仕事は、できるやつのところに集まってくる。だから依頼されたことにNOと言うな」
これは昔、先輩から言われた言葉です。この言葉はずっと私の奥底に響き続けています。
若いころは仕事をふられても、できるかどうか自信を持てないことが多い。実際、できないかもしれません。でもとりあえず「はい」と言って、自分のところに来た仕事にひたむきに取り組む。私はそれでいいと思っています。
明確なビジョンなんてないまま走ってきた私でも、大きな面白い仕事をさせてもらっていますから。
入社して10年以上が経ちますが、ようやく将来のビジョンを掴んだ気がしています。経験だけで物申すのではなく、社内外問わず相手に理解してもらえるような立場に立ちたいなと考えています。
そして新しい仕事に手を広げながら売上を作っていける存在になりたい。
ダーツライブにはブランド力と実績がありますし、全国のプレイヤーや選手からも厚い信頼があります。そんな環境下で実現できることはたくさんあると思うので、もっと会社と市場を盛り上げていきたいと思います。