学生時代からダーツにのめり込み、過去にはダーツバーの店長やプロ資格の取得を経験してきた加藤 康行。現在は、ダーツライブでタイアップ企画や顧客とのやり取りに携わっています。ファンからプレイヤーへ、店長からメーカーの作り手へとあらゆる角度からダーツと携わり続ける加藤が仕事のやりがいと今後の展望を語ります。
▲ダーツバー店長時代
私が株式会社ダーツライブ(以下ダーツライブ)に入社したのは35歳のときです。それまではダーツバーで働いていました。ダーツは大学生時代から好きで続けてきましたし、バーで働くことにやりがいを感じていたと同時に、ちょうど転職も考えはじめた頃でした。一生夜型の生活をしていくことは非現実的ではないかと感じていましたし、母体がベンチャー企業でもあったので、すぐに成長ということも難しい。30歳のころ、自分がどういう方向性でキャリアを歩んでいくかを35歳までに決めようと考えていました。
当時の選択肢はざっくり3つ。会社の成長のために身を捧げるのか、自分でリスクを負って小さくてもいいからお店をやるのか、昼間に働くような仕事をするのか。そんなことを考えていた当時、お店にダーツライブの社員の方々がよく遊びに来てくれていたのです。みなさん、自分たちのサービスがどう遊ばれているのか視察や市場調査も兼ねて、仕事帰りにダーツを練習しにいらしていました。
うちのお店には、ダーツライブのダーツマシンと、ダーツライブと競合する他社のダーツマシンをどちらも導入していたので、社員の方々と顔見知りになっていくうちに「お客さんの反応はどっちがいい?」、「どんなものがお客さんのニーズに合うと思いますか」など、聞かれることも増えていきました。次第に、毎晩ダーツバーの現場に立っている店長として、そんな社員からの質問に率直に意見を述べていくようになっていきました。社員の方からは「とてもお客様視点で考えていらっしゃるんですね」といった反応をもらうことも増えていきました。
あるとき、会話の中でたまたま「転職を考えているんです」と話したことがありました。すると偶然にも、そのときお店にいらしていた社員の中に執行役員の方がいて「だったら、うちの中途採用を受けてみたらどう?」と言っていただいたのです。しかし私は、これまで店舗での経験しかないし、現場中心の仕事が多くオフィス内での勤務経験もありません。自分のどこにダーツライブ社員として貢献できる部分があるのだろうかと思いながらも「チャンスがあるなら挑戦してみよう」と、さっそく中途採用のWebを見て応募してみたのです。
▲プロとして活躍していた頃の写真
私は今、店舗サービス企画部という部門に所属しています。ざっくり表現すると、店舗に対してサービス向上を促す業務です。店長として働いていた経験も活かすことができていると思います。お店側のさまざまな事情を身をもって体験してきた当事者でもあるので、自分の提案がお店側にハマってくれたとき充実を感じます。また、ダーツがある空間での店舗勤務や長年の接客経験からも、ユーザーであるお客様の気持ちをイメージできるので、お店と話すときもスムーズに話せていると思います。お店の運営側とダーツが好きなお客様。その両サイドの視点に立てるという点が、私の強みなのだと知りました。
私がダーツを始めたのは大学4年生のころ。たまたまダーツのある場所に遊びに行き、友達みんなで始めました。同じタイミングで始めたので実力差もなく、一緒にスキルアップしていくのが純粋におもしろかったんです。ダーツって、プレイしながらコミュニケーションが取れます。お店にいる面識のない他の人とダーツを通じて親しくなれるのも楽しみの一つでした。当時、お店にいるお客さんたちは自分より年上の人が多くて、学生だった自分は社会人の方との交流が広がっていくことも嬉しかったですね。
新卒で一般企業に就職した後もダーツにどっぷりハマっていました。仕事が終わったらダーツバーへ、また翌日も…という繰り返し。ダーツへの出費も大きくて、金額で言うと月に10万円くらいはダーツのプレイ代に費やしていました。そんな自分の姿を見た、ダーツバーを運営している会社の部長さんから声をかけていただいて、「仕事の時間もダーツに捧げられるのって良いな」と転職。
ダーツバー店長として働きながら、プロの資格も取りました。たくさんの大会にも出場しましたが、私は本質的に人と競うことが好きなわけではなくて、「勝ちたい」よりも「スキルを磨きたい」という気持ちが強かったです。凝り性なんですよね。
当時はユーザーとしてダーツライブのサービスを活用していましたが、自分のスコアをオンラインで管理できる仕組みがあったので、凝り性な私にはぴったりでした。技術が高まっていく様子を自分でしっかり感じることができるのが本当に面白くて、おかげでダーツも上達しました。まさか自分が入社することになるとは思いませんでしたが、ダーツライブがあったからこそダーツにここまでハマって、自分の人生まで変えてくれたと思っています。
▲印象に残っている「ペルソナ5 ザ・ロイヤル」とのコラボキャンペーン
ダーツライブは、アニメやゲーム作品など他企業様とコラボレーションさせていただく機会に恵まれています。私もいくつか担当させていただいているのですが、中でも印象に残っているのは、全国を対象とした大型タイアップキャンペーンの仕事です。幅広い年代層に支持をうけている大人気ゲーム『ペルソナ』という作品で、最新作「ペルソナ5 ザ・ロイヤル」が発売されるタイミングでタイアップすることになりました。
お店で働いていたころはお客様だったり、またダーツライブに入社してからも店舗の担当者様だったり、深く狭いお付き合いがメインでした。ですが、この案件では社内はもちろん、社外の方々も含めてたくさんの力を借りながら進めていく必要がありました。大型でメジャーな作品とのタイアップではよくあることなんですが、作品の世界観を損なわないようにするために、監修のハードルが高くなるんです。たとえば、ダーツマシンで表示させるタイアップ先の画像一つとっても「質の高いものにして欲しい」、「手を一切加えないで欲しい」といったリクエストが多くなります。先方の要望をいかにダーツライブとして落とし込めるか、デザイナーと一緒になって試行錯誤を繰り返し、何度も何度も打ち合わせを重ねました。
『ペルソナ』に関して私は事前知識がなかったので、担当者としてアサインされてからゲームを実際にプレイし勉強しました。先方との打ち合わせでは、世界観やキャラクターの名前を「知っていて当然」という状態でないと話が嚙み合わないと考え、作品を理解してから臨むようにしていました。ユーザーの反響がどの程度あるのか予想がつかない部分もあったんですが、結果は大成功。これまでの苦労が喜びに変わるのを実感しました。
ダーツライブのファンの方から「おもしろいものとタイアップしているね」「これがきっかけでダーツ復活したんだ」という声を、個人的にもいただきました。嬉しいことに、SNSでも結構大きな反応があって。「ダーツを始めるきっかけ作りをしたい」という想いを持っているからこそ、キャンペーンによってダーツに興味を持ってもらえたことは嬉しく、自分の新しい使命の一つなのだと感じることができました。
入社前はダーツライブについて、面白いことを遠慮なく展開している「攻めている会社」というイメージがありました。イベントやサービス提供の方法など、オリジナリティに溢れている印象があって、それは入社した後の今でも変わっていません。入社して実感したのは、本当にプロフェッショナルな人たちが集まった会社だということ。
それぞれのスペシャリストと一緒に仕事をする中で、うまく連携ができて理想的なキャンペーンやサービスが実現できたときに、大きな喜びや達成感を得られるのは初めての体験でした。これまでの仕事では接点がなかったエンジニアたちと、一緒に仕事をして意見交換ができるのも新鮮です。どういう部分に苦労しながら開発を行っているのか、どんな仕事があって、どんなことをしているのかなど、直接自分の目で見たり聞いたりできたことが、私の視野を広げてくれたようにも思います。
私自身、ダーツライブのサービスが始まった2004年当時からユーザーとして利用しているので、ダーツ歴も業界歴は長く知識もあるほうだと思います。社内では、私のこれまでの経験を評価してくださる人もいますし、お店側の視点として意見を聞かれることもあります。そういう意味では、社内での存在意義のようなものを感じることもあります。
ですが、サービスを企画して生み出す経験や知識が全くない状態で入社したので、実際に携わってみて、その難しさを知りました。今までは知らなかった裏側に触れ、社員のみなさんへ対するリスペクトの気持ちは日増しに大きくなっていきました。会社のサービスは、さまざまな部署が連動し合って、たくさんの人の協力があって初めて世に出せるものじゃないかと思うんです。
それぞれがプロフェッショナルとして、経験や知識を持ち寄っている。たとえ同じプロジェクトの担当でも、私にはできないことを別の誰かがやっていますから、社内で誰がどんな仕事をしているかを把握することも大切だと感じています。やっぱり根底には、ダーツがもっと広く認知されて、多くの人が触れるきっかけを提供したいという思いがあります。店長業務をしていた時に、いろいろなお客さんがいることは学んだので、自分がハマったダーツの価値観を押し付けたいとは思っていません。それでも一人でも多くの方がダーツに興味を持ち、ダーツを遊びの選択肢に加えてくれるようなサービスを作っていきたい。
私はダーツの魅力を外側からも内側からも知っています。そんな自分なりのプラスαの仕事を社内のプロフェショナルに還元して、これからもダーツの素晴らしさを伝える取り組みを、ここで実現していきたいと思います。